ショートケーキを1つ。
緊急事態宣言も解けたということもあり、久しぶりに師を訪ねる。
先輩方は都合つかず、今日もわたしのみで訪問。
師は病で身体が不自由になり、なかなか外に出られない身。
今まで以上に人との関わりが取れない時間はさぞかし寂しかったことだろう。
(わたしが行くのは迷惑かもしれないが)
しばらく前から師に何か必要なもの、欲しいものはありませんかとリクエストを出し続けていて、ようやく返事が。
『コーヒーに合うショートケーキを1つ買ってきてもらえないだろうか』
(ショートケーキか)
しばらく近所のケーキ屋さんをあたってみたが、どんなのがいいのかな。
オススメのお店に行ってみる。
ショートケーキと言えばイチゴ!
残念、売り切れ。
(わたしのイメージからは離れてしまうショートケーキですが勘弁してください)
師の思い。
ショートケーキを1つ。
なぜ1つ?
わたしたち、弟子はわかっている。
師はわたしたちが行くとコーヒーを淹れてくれる。
そのコーヒーのお供のショートケーキ、つまりは自分が食べるためのショートケーキではなく、わたしのためのショートケーキをリクエストしているのだ。
俺はいらないけど、みんなにはおいしいケーキといっしょにコーヒーを飲んで欲しい。
師はそんな人だ。
『俺はケーキが食いたい!お前たちの分も買ってこい!みんなでコーヒーを飲みながらいっしょに食べよう!』
そう言ってくれれば、とてもわかりやすいのにそういうことを言うのが一番苦手な人だ。
苦手というか、ほんとに心の底から自分のことはいいというふうに思っている人だ。
わたしでなくとも、師の弟子であればみんな同じような行動をとるだろう。
「ご家族やヘルパーさんといっしょにコーヒーを飲む時にと思ってちょっと多めに買ってきてしまいました。わたしの分も買ってきましたのでいっしょに食べましょう。」
(師は一人暮らし。こうでも言わなければ師が気にする。)
時間がかかっても、師が淹れてくれるコーヒーを待つ。
ここをわたし(たち)が手伝ってしまったら、師の気持ちを打ち壊してしまうことになる。
師もそこは任されているという自覚もプライドもあるのだろう。
とても時間がかかったのに、『ちょうどコーヒーがはいったよ』という。
なんだかんだで3時間弱。
師の話を聞くというより、わたしが一方的に話をしてしまった。
人事のことでガックリきていたわたしの話をずっと聞いてもらってしまった。
また、今回も師の大きさ、広さを感じて師の家を後にする。
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師の好きなもの。
酒屋でビールを1箱。
500の缶を1本で終わりにするとどこか負けたような気がしてならない。
でも、500の缶を2本飲みきるのはちょっとつらい!?
だから、今回は350の缶。
これなら2本目も行けるから負けた気もしないし、飲みきることもできる。
師も多少の満足感をきっと得られるだろう。
(ここはちょっとしたわたし感覚の気遣い笑)
次は先輩方とお伺いしますので、コーヒーを淹れる他にビールを冷やしておいていただきたい。
きっと、弟子の思いは師にも伝わっていることと思う。